胡蝶語り

shioumiの日記みたいな語り まあまあ日刊

8月31日 曇り 本の歴史などとりとめなく

 

8月最後の日は、あいにくの天気だった。

 

 

「本の虫」のことをビブリオフィリアというらしい。

 

この言い方は格好いいのでどこかで使おうと思う。

 

本は他人の知識、昔の知恵を伝えるツールだ。あるいは物語などの娯楽を提供するためのものだ。他人の経験を疑似体験できる本は、人の心や思考を育てるのに向いていて、人を成長させる「オールマイティーカード」なんて呼んでいるのを見たが、そのとおりだと思う。

 

本を読み、読者がどのように感じ、考え、記憶するかが重要なのだ。その意味では、本はそれ単体では成立せず、読者に取り込まれて初めて成立するものだとも言える。

 

 

さて、本は昔はスクロールなどと呼ばれる巻物だった。文字を載せる媒体もいろいろだ。麻のような植物で織ったパピルス、竹簡木簡、羊皮紙。アジアでは2世紀に蔡倫が安価な製紙法を発明したので、書物の広がりは大きかったと思われる。

 

印刷技術が発明されるまで、本はもっぱら写本によって作られた。写本は僧侶や学生たちの良い副業だったと言われる。15世紀にグーテンベルクによって、活版印刷が発明された。アジアでも活版印刷の試みは多かったようだが、漢字で文字数が多かったため(つまり作らなければいけない活版が膨大な数になり不経済)、普及には至らなかったようだ。同15世紀にヴェネチアなどで印刷業が盛んになり、書籍の普及が進んだ。

 

次に大きな発展があったのは19世紀、輪転印刷機が発明された。形式の違いこそあれ、印刷版をぎゅっと押し付けていた工程から、くるくる回る工程になったのだから、効率は大幅に上がったことだろう。19世紀は鉄道が導入された時代でもあり、イギリスでは「ロンドンへ通勤する」という概念が生まれた。混み合う車内で、手持ち無沙汰を解消するためにペーパーバックが労働者階級にもよく売れたらしい。

 

ここから先はWikiの知識だ。

 

現在も使われている平版オフセット印刷が発明されたのは1904年。1938年に静電写真法が発明され、これがコピー機の原理になっている。そしてDTP(デスクトップパブリッシング・・・要はパソコンで印刷データを作る)のが1985年。

 

そして21世紀、電子書籍Kindleの第一世代がアメリカで発売されたのが2007年、日本版Kindleストアが導入されたのが2012年。僕が初めてKindleを使ったのは、2013年から2014年にかけてだったと記憶している。

 

 

 

というわけで、このように本の媒体は時間をかけて変化しているが、本質は変わっていない。本質とは、コンテンツだ。パピルスに書かれていようが、羊皮紙に書かれていようが、和紙に書かれていようが、電子書籍だろうが、ホメロスオデュッセイア源氏物語の価値は変わらない。

 

読書感想全国コンクールで、課題図書は紙のものに限るというというニュースがあって、時代錯誤だなと思ったが、よく考えてみれば、1億総発信者の時代に、文章を集めるコンクール自体が、そもそも時代に沿っているとも言い難い。想像するに、主催者の本音は、商業的な理由だと推測するので、それなら主催者の自由で構わない。

 

つまるところ、「自由」という社会インフラが機能していることが本の発展に一番重要なのだろう。出版不況と言われるが、日本の書籍は毎年7万点を超える新規発行がある。部数ではなく発行点数でこれだ。月で6000点、日割りで191点。供給過多とも言える状況を作り出しているのだから、「自由」という社会インフラは充分以上に機能しているということだろう。

 

 

 

 

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きょうのことわざ Today's Proverbs and Sayings

 

 

The grass is always greener on the other side of the fence

 

 

(隣の芝生は青い)